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警戒心むき出しのまま固まる私に、
その人はふっ、と優しい笑みを浮かべた。
その表情が何故か悪い人に見えないから
今は余計に恐怖を感じる……。
この人の目的が全然見えない。
そそくさとお礼を言って逃げる予定が
彼が言葉を紡ぐのを自然と待っていた。
その唇から優しい声が出るのを聞きたい
何てバカな事を思ってしまったのは
吊橋効果と言うやつなのかもしれない。
「……隙だらけだな。」
…………どうやら、
この男は私に優しくするつもりはないらしい。
その声色はとてもじゃないけど、
優しさの欠片すら見つからない。
どいつもこいつも。
私が何したっていうの!?
…何を間違えたって言うの…。
頭の中で何かがぷつんと切れて、
涙と共に心が大爆発を繰り返す。
「……私の事、何も知らないくせにっ!
アナタに何が分かるっていうの?!」
あぁ、最低だ………。
こんなの八つ当たり以外の何物でもない。
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