宮殿

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時代の違いと言えばそれまでである。私の場合、王妃とは名ばかりで自由は許されなかった。彼女は女王に逆らいながら自分を押し通した。 我が国の血へ戻すために苦労した挙句、事故で神の御元へ行った彼女の生涯は決して無駄ではない。元々他所の国に牛耳られるのは私の本望ではない。彼女が産んだ王は鉄の塊に乗って挨拶に出かける。王が他の国の宮殿へ出かけるのは私の時代には考えられない事だった。 これから先はどうなっているのか、この時代の人にはわからない。魂だけとなった私は、その先の時代へ今から出かけるのである。
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