輝きもいつかは

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 闇雲に時間だけが過ぎていく。八月も後半。もうすぐ夏休みも終わってしまう。  その日、僕はカメラを抱えてただ歩き回っていた。  目に映ったものをなんとなくカメラにおさめる。そうして、朝から夕方までただ歩き回る。  普段は行かない公園に立ち寄り、ベンチに座り、橙に焼け染まる風景を見つめながら、この美しさをどうして自分は画にできないのかと落ち込んでいた。  シャッター音が聞こえた。  僕は、横を見る。 「ごめんね、夕暮れにビデオカメラを抱えて黄昏る少年なんて、なかなかないシチュエーションだから、ついシャッター切っちゃって」  そこには、カメラを持った女性がいた。女性と言っても、制服を着ていたし、(のちにそれが最寄り駅から三駅ほど先の高校の制服だということを知った)そこまで年が離れているわけではないのだろうが、とても落ち着いて見えた。少なくとも、当時僕の周りには大人しい子はいたが、こんな風に落ち着いた空気をまとった子はいなかった。 「なにかの撮影?」  女性は僕のビデオカメラを指さし訊く。 「あ、ええまあ」  言葉が濁る。あんなに意気込んでいたのに、なぜだか映画を撮っているということが恥ずかしく思えた。 「そっか。私も撮影」  そう言って、女性は首に下げたカメラを持ち上げる。     
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