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布団の殻に閉じこもっていたい。
指先一つ布団からはみ出したくない。
殻に触れられたくない。瞼が重たい。差し込む日が告げる時間に、お腹の虫が体をむりやり起こす。
春の訪れは微塵も感じられない中で、立ち上がらずに着替えを選んだ。
まぶたは重たいままで、布団からそのままこたつに。
ホットカーペットだけじゃあ布団には敵わなくて、こっそりスイッチを入れた。お弁当作りに便乗して朝ごはんにおにぎり、お茶も飲み干し、のろのろと化粧をする。重たいまぶたは今日もひとえ。
いろいろ頑張ってみたけど、まだひとえ。何をしても報われない。この肉厚なまぶたが大嫌いだ。
車で駅まで送ってもらい、ホームに立つといつも通り。いくら思っても、もう戻れない青春に、交された想いがこみ上げる。
今日も電車にはいない。声も聞けない。連絡も取れない。
会いたいと思うのはわたしだけで、あなたは私の知らないどれかに乗っている。
特別楽しいことがあるわけでもなくて、今日もまた飛び降りたかった。
学校で友達とおしゃべりをしている時、大学なんて特別仲がいい子ができるわけでもなく、どれもこれも上っ面のぺらっぺら。
どうしたらいいのかなんて私にもわからない。けれど人には繋がりが必要だから、女は笑いあってても居なくなったら悪口悪口。
大学に入ってからどっぷり疲れた。あの頃に戻りたいと思うのは、友達も先生も、何もかもが深かったからだと思う。
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