妬きもち、それぞれの形

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ハーフタイムになって、鷹月が顔を出した。 「どんな感じ?」 「同点で折り返しだよ。」 自然に彬くんの隣に立つと彬くんは眉を寄せて、スーツの匂いを嗅いだ。 「どうして?こう君、香水の匂いするけど?」 「ここ来る前に、物件案内してきたんだよ。 その時のじゃね?」 「何でこんなにしっかり付いてるの?」 頬を膨らませて問い詰める目は、泣きそうに潤んでいる。 「なっ、違うぞ?若い夫婦だったし。 メジャーで図ったりすんのに、荷物持たされたから。きっとそん時だよ!」 「本当?」 「当たり前だろ?」 手塚君はそんな二人の様子を、穏やかな顔して見ていた。 ピッチサイドのベンチでは、ボードを使って戦術の確認をしている。肩を叩きあって気合いを入れ直して、鼓舞するように円陣を組んで叫んだ。 「っし!行くぞっ!」 悠真がまっすぐに手塚君を見上げたけれど、二人の視線は重ならなかった。
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