君に会いたい

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君に会いたい

『ありがとう…』 その一言で夢から目が覚めた。 夢の中にいたのは、僕の探している君だ。 探しても探しても、会えなくて。 諦めようかと思えば、夢で会う。 もしかして君は僕に見つけてほしいのだろうか。 探し始めてから、一ヶ月。 今日は、最後に君と行ったあの場所へ行く。 ひっそりと秘密基地なんて呼んだこともある、あの場所だ。 あそこには、いろんな思い出が詰まっていて、行くに行けなかったのだ。 行ってしまうと、涙が出そうで… でも今日はなんとなく勇気が出たから、行こうと思う。 僕は絶対君を見つける。 (懐かしいな) たった一ヶ月ここに来なかっただけで、すごく懐かしい気がする。 何年も何十年も、この場所に来なかったような… さあ、君はここにいるだろうか。 薄暗い森のような木々の中を、隈無く見て回った。 それでも君は見つからなかった。 今日のところは諦めて帰ろうとした時、不意に名前を呼ばれたような気がした。 気がしただけで、耳が聞こえない僕は喋ることも上手くできない。 それでも君が名前を呼んでくれた気がして、振り返った。 そこに居たのは、ずっと探していた君で。 でもその背中には真っ白の大きな翼があった。 いつものようにへらっと笑いながら、手話で僕に訪ねてきた。 【私、天使になったの。あなたも一緒にくる?】 僕はもちろん 【うん!】 そう答えた。 こんなにずっと君を探していたんだ。 だからまたはぐれてしまわないように、どこまでもついて行くよ。 二日後… あの場所に来た住人が、彼を見つけた。 そこにあったのは、幸せそうに笑って冷たくなっている彼と、真っ白な羽が落ちていた。
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