第1章(狂った連中)

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 ある日に学校から帰って来て、伊藤の家に歩いて行く。 「翔君! あ~そ~ぼ」伊藤の祖母が出てきて、「二谷君、ごめんね。翔はピアノ教室に通う事になったのよ」 「そうですか、別の日に来ます」  自宅まで300メートルくらい。ただでは帰りたくないな。…………そうだ! 伊藤んちの隣には伊藤の同級生の田辺が住んでたはず。  隣の家のチャイムを鳴らす。顔は2~3回見てる。暇潰しにはなるだろう。 「はい、どちら様ですか?」  俺は玄関に入ると田辺と母親らしき人が立っていた。 「田辺君、遊ぼ」 「えっ、あのっ、その……」田辺は何かモゴモゴしてる。 「この人は誰? 知らない人ね。洋介、こんな人知らないわよね? 帰ってちょうだい」これが“汚い大人”ってヤツか。  俺は無言で立ち去る。次のいじめのターゲットが決まった。アハハ。  次の日の登校中に俺は田辺洋介のランドセルを掴み、田んぼに突き飛ばす。泥だらけになってる田辺をよそ目に、なに知らぬ顔で登校する。気持ち良い。 ――中学生になるといじめは更にエスカレートする。柔道なんてやりたくない。親に反抗出来ないから、弱い者いじめは最高に気持ちいい。  下校中にバタフライナイフを持った田辺洋介が待ち構えていた。  居合わせた女子生徒が悲鳴を上げる。  ちょっとやり過ぎたかな? アハハ。  俺は足下にあった拳大の石を田辺の顔面に投げ付ける。痛ー! と、のたうち回ってる。  口に当たったから歯が折れたかな、アハハ。
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