第1章(狂った連中)

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 親は弱い者いじめは止せと言うが、なら強い者なら良いのか。下校中に高校生と思われる男とすれ違った時に、「バーカ」と言われたので、顔面を4~5発殴って転ばせて、右手を十字固めで脱臼させる。痛みで気絶したか、雑魚が! アハハ。  こういうヘタレオタが犯罪を犯すんだ。外れた右肩をグリグリして神経を傷付ける。  土曜日、地獄の柔道タイム。やりたくない、つまらない、帰りたい。 「明日はいよいよ昇段試験だぞ。中学2年生で1級の者は松山、龍熊の2人だけだな?」 「うあ~、日曜日も潰れるのかよ」 「やる気がないなら帰れー!」 「分かった、帰りま~す」  俺は更衣室に行こうとすると、「待て待て待て」と、先生が止めに入る。 「帰れって言ったじゃん」 「そういう事じゃなくて」 「意味不明」 「明日の9時に公民館で集合だ。初段を取ったら柔道を卒業していいよ」 「念書を書いて。大人は信用出来ないから」  先生は道場の事務室から紙とボールペンを持ってきて、“龍熊二谷が初段を取ったらクラブを辞めてもらう”と書いてくれた。 「これで良いかい?」 「俺の親にも話を通しといてね」 ――昇段試験の日の朝、俺は自転車で公民館へ行く。「松山、おはよう。早いな」 「おはよう。龍熊だって早いじゃん。まだ8時半だよ?」 「労働が終わると思うと何かワクワクしちゃって」 「お前な~、柔道をバカにするなよ? 昇段試験を軽く見てない?」 「楽勝だよ、アハハ」 「俺は自衛隊に入る為に真剣にやってるんだ」 「俺は労働の終わりと新作の格闘ゲームで頭がいっぱいだよ」  このチビ、身長155センチメートルなのに本気で自衛隊に入るつもりか、アハハ。  他の学校の生徒達が集まってきた。
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