第1章(狂った連中)

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――昇段試験が始まった。公民館の柔道場に20人くらいが集まる。礼で始まり礼で終わるとかどうでもいい。  俺の相手は妙に撫で肩でヒョロヒョロしてる。 「よろしくね」 「こっちこそ、よろしくね」  試験官が技名を言う。それに合わせて技を掛ける。支釣込足、体落、払い腰など。  次は乱取りだ。俺は一瞬の隙を突き、隅返を決める。一本だ。  相手からは小外刈で有効を取られただけだ。労働から解放される!? ――試験が終わり、俺は帰ろうとした時に声を掛けられる。 「君が龍熊二谷君だね?」 「そうですが、何か?」  さっさとゲーセンに行きたいのに邪魔くさいな。 「うちの高校に来ないかね? 隅返を決めるなんて! 君なら全日本が目指せるぞ」 「興味ないんで」俺は自転車に乗り、逃げるように去る。  これ以上の労働には耐えられない。それより新作の格闘ゲームだ。ワクワクするぜ。 ――結果、戦績は6勝10敗。親にジュース代として渡された千円を遣いきってしまった。
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