CASE2 宮沢佳恵

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「はじめまして。宮沢佳恵(ミヤザワヨシエ)です。南条北西高校で数学を教えています。」 ブラウスにカーディガンを羽織りスーツ用のスカート、どちらもしわひとつなくきっちりとした身なりで清潔感を物語っていた。 ショートカットの髪にふちの細い眼鏡をかけた姿が数学の先生をなんとなくイメージした姿ぴったりで合コンにいたら絶対に落とせないタイプだ。 「はじめまして。東谷探偵事務所の東谷嘉月と申します。高校の先生なんて大変そうですね。」 「まぁ、はじめは大変でしたけど、大学を卒業して教師になってから10年も経ったので今じゃ慣れました。」 「10年ですか?じゃあたぶん俺と同い年ですよね?」 「33歳ですか?」 「はい。女性に年齢を聞くのは失礼ですよね。すみません。」 「いえ。構いませんよ。歳なんてとっていくものですから。 「そうですよね。でも大変ですよね。先生という仕事は子供相手ですから。」 「子供もそうですが、今は親の方が大変かもしれません。モンスターペアレントが近年問題視されていますから。」 「確かにそうですね。ではさっそく本題なんですが、今日はどのような依頼でここへ?」 「実は高校生の間で変わった遊びが流行ってまして…誰が言い出したのか、誰がはじめたのかそういうのは一切わからないんですが…。」 「あぁ、都市伝説や、コックリさん、エンジェルさんとかそういうものの類ですか?」 「えぇ。でも、それが原因で近くの高校で不可解な死が相次いでるみたいなんです。うちの学校でもそれが流行っているらしくて。嫌な予感がするんです。私の考えすぎならそれでいいんですが、何かあってからじゃ遅いので。私は生活指導の主任を任されているので校長先生にも相談をしたんですが、やはり取り合ってもらえません。でも、外部の人への要請は認めてもらいました。東谷さんにはこの件の調査をお願いしたいんです。」 「調査ですか…ちなみにどんな遊びなんですか?」 「…黄泉遊びって言って、死者を呼び出す儀式なんです。でも、それには手順があってそれを1つでも間違えると、死者に連れていかれるとか、3日以内に死ぬとか尾ひれがついているのでどれが本当なのかはわかりませんが、そういう遊びだと私は聞いています。」 「黄泉遊びねぇ…わかりました。とりあえずこちらで調べてみます。」 「よろしくお願いします。」
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