CASE6 倉島みのり

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「その女の子ははじめはとても遠いところにいるらしいんです。でも眠ってしまうと徐々に近づいてきて最後はすぐ後ろに。その夢を見た後妹は亡くなりました。助けるって約束したのに、私は何もできなかった…。」 「だからここへ書き込みを?」 「はい。妹のようになってしまう人を少しでも救えるように。実際にコンタクトをとってくる方もいますが、大体は冷やかしなんです。まじめに話を聞いてくれる人なんていないのが現実です。」 「都市伝説、心霊現象はほとんどの人間が認めません。特に若い子は好奇心だけで危険をおかす。この黄泉遊びも早くしないと犠牲者が増えます。もうすでに20人の死者がでています。」 「そんなに…。でも、東谷さんはどうやって止めようとしてるんですか?」 「こういう件は呪いの元凶を見つけて除霊や浄化することで治まることが多いです。俺はこの黄泉遊びには池と女の子が関わっていると考えてます。その女の子を除霊すれば解決するかもしれません。」 「詳しいですね。」 「探偵をしているとこういうことも頼まれますから。」 「私も早く東谷さんに依頼していればよかった…約束を破ってしまった私をきっと妹は憎んでいると思います。」 「そんなことない。」 「雷?」 「妹さんはありがとうって言ってる。両親が早くに亡くなってずっと母親のように優しくしてくれたお姉さんに感謝してるって。私にそう伝えてほしいって言ってる。」 「本当に?…佳乃…うぅぅ、、雷さん、ありがとう。」 雷はお礼を言われ照れたように笑った。 その笑った顔に胸が少し脈を打ったのはたぶん気のせいだ。
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