CASE1 葛城雷

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「なんであの場所にいたんだ?傘もささないで。」 「闇を探していたの。」 「闇?」 「私の友達。黒猫。」 「猫の名前か。あ、もしかしてこいつか?」 俺は携帯電話を取り出し写真を見せた。 「あ、闇だ。」 「今日うちの事務員から連絡が来てたんだ。猫を拾ったから持ち主探しておけって。よかったぜ。見つかって。明日事務員が連れてくるから。」 「嘉月、ありがとう。」 「おい、呼び捨てかよ!」 「ダメなの?」 「まぁ別にいいや。服が乾いたらさっさと帰れよ?」 「帰るところなんてない。」 「は?親と喧嘩でもしたか?」 「本当の親はもう死んだ。ずっと育ててくれたおばあちゃんも去年死んだ。それでおじさんの家にいたんだけど、私はもういらないって。呪われてるからって。」 「なんだよ、それ。じゃあ雷は今どこに住んでるんだ?」 「お金はあるからホテルとか漫画喫茶とかいろいろ。同じとこにはいたくないから毎日転々としてる。」 「…どうするかなぁ。とりあえず事務員呼ぶわ。」 俺はどうしていいかわからず事務員を呼んだ。
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