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「なんであの場所にいたんだ?傘もささないで。」
「闇を探していたの。」
「闇?」
「私の友達。黒猫。」
「猫の名前か。あ、もしかしてこいつか?」
俺は携帯電話を取り出し写真を見せた。
「あ、闇だ。」
「今日うちの事務員から連絡が来てたんだ。猫を拾ったから持ち主探しておけって。よかったぜ。見つかって。明日事務員が連れてくるから。」
「嘉月、ありがとう。」
「おい、呼び捨てかよ!」
「ダメなの?」
「まぁ別にいいや。服が乾いたらさっさと帰れよ?」
「帰るところなんてない。」
「は?親と喧嘩でもしたか?」
「本当の親はもう死んだ。ずっと育ててくれたおばあちゃんも去年死んだ。それでおじさんの家にいたんだけど、私はもういらないって。呪われてるからって。」
「なんだよ、それ。じゃあ雷は今どこに住んでるんだ?」
「お金はあるからホテルとか漫画喫茶とかいろいろ。同じとこにはいたくないから毎日転々としてる。」
「…どうするかなぁ。とりあえず事務員呼ぶわ。」
俺はどうしていいかわからず事務員を呼んだ。
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