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CASE2 宮沢佳恵
雷が来てから1ヶ月が経った。
最初はそんなに喋らなかったが、今は少しずつ口数も増えている。
「嘉月、これ終わった。」
「おう、ありがとな。弥生、雷になんか飲み物淹れてやって。」
「はーい!嘉月は?」
「俺はまだいいや。」
雷は俺をじっと見つめてこう尋ねた。
「嘉月、身近な人で誰か亡くなった?」
俺はその質問に動かしていた手を止めた。
「急にどうした?」
「ううん、ただそう思っただけ。」
「そうか。」
俺はそれ以上何も言わないし、雷も何も言わなかった。
できれば思い出したくない。
でも、どうしてそんなこと聞いてきたんだ?
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