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それから三人で雑談をしていると廊下がざわついてきて、何事かと須藤くんの向こうを覗けば数人の男子生徒が教室に入ってきて、私を見つけて寄ってくる。
須藤くんと豹馬くんが立ち上がり、私の前に立つ。
「福田先輩。どうしたんですか」
須藤くんが先頭にいた男子に声を掛ける。
福田と呼ばれた先輩は、豹馬くんの二の腕越しに私を見下ろす。
背が少し低く、中途半端な長髪がバランス悪くさらに身長の低さを強調している。
時代遅れのヤンキーのようだ。
「2Aに美人の転校生が来たっていうから見に来た」
美人って……。
思わず照れて頭を掻くと、豹馬くんの冷たい視線が突き刺さる。
「その子だろ。挨拶くらいさせろよ」
二人を押し退けて、座る私の前に福田先輩がくる。
でも私の視線は、後ろにいた目をまん丸にさせている人に注がれる。
「那奈のお兄ちゃん!」
挨拶をしようと口を開いた福田先輩を無視して私は那奈のお兄ちゃんを指差す。
そっか、那奈が居るってことはお兄ちゃんもいるのか。
私はあれだけのことをされていたにもかかわらず懐かしくなって、歩み寄ってバンバンと肩を叩いた。
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