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「いやー、背が伸びたねぇ! 相変わらず坊主頭だし! 相変わらず仁義とか言っちゃってんの?」
「お、お前、三郎爺の!」
「そうそう、比和子!」
後ずさったお兄ちゃんは、腕組みをしてこの状況を諦観していた玉彦を見つけ、福田先輩の肩を掴んだ。
「おい、福田。コイツはヤバい」
「何がよ? おれ、福田。よろしくね、『比和子ちゃん』」
差し出された右手。
咄嗟に反応してこちらも差し出せば、その手は玉彦に掴まれ阻止された。
「馴れ馴れしく呼ぶな。福田」
先輩を呼び捨てってどうかと思うよ、玉彦。
須藤くんは玉彦の登場に椅子を戻し、豹馬くんは笑っている。
「なんだよ、正武家」
食って掛かる福田先輩に玉彦が一瞥すると、那奈のお兄ちゃんが止めに入る。
でも、遅かった。
「下の学年にまで女を漁りに来るとは見苦しい」
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