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「お前っ!」
「福田っ。止めろ!」
那奈のお兄ちゃんが小柄な福田先輩を後ろから羽交い絞めにして、教室を騒がしく出て行く。
教室内や廊下ではギャラリーがこちらを見ている。
「渡辺のスピーカーは必要なかったな」
豹馬くんがしたり顔で玉彦を肩で押す。
やれやれといった感じで、須藤くんが戻って来ると未だ私の腕を掴む玉彦を離す。
「玉彦様も。上守さんが普通に学校生活送れるように自重すべき点はあるんじゃないの?」
「友人として接することには構わん。だがあれは駄目だ。下心が見え見えで気色悪い」
「先が思いやられるね、上守さん……」
須藤くんの溜息は、私の溜息だ。
私はこの学校にいる間、満足に友達を作れるんだろうか……。
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