がっこう

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正武家の書庫は、離れのお屋敷の地下にある。 木の梯子を降りて天井の低い廊下を進み、突き当りの引き戸を開ければそこは二十畳くらいの部屋があり、壁際と部屋の真ん中あたりに黒い漆の棚がズラリと並ぶ。 図書館みたく本は立てて保管されていない。 綴られた古い本が大半なので、全て重ねられている。 奥へ行けば行くほど古い本があり、とりあえず私が読むことを許されているのは部屋の手前半分。 この書庫に保管されている本は、正武家が今まで関わってきたお役目の全て。 私は正武家の一員として家の歴史を学んでいる最中で、書庫の中はそれらを知るためには重要な場所だった。 毎晩玉彦の正武家についてのお話は続いていて、その内容はこの書庫の私が立ち入りを制限されている奥の部分だ。 どうして制限されているのかというと、お役目を理解しないで読んでも解らないということと、記されている文字が達筆すぎて読めないのだ。 努力はしているけど、未だに読めない。
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