がっこう

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「おい、夕餉だ」 土曜の夕方。 書庫に籠る私を、部活終わりの玉彦が呼びに来た。 梯子を上がり、外に出れば身体を包んでいた圧迫感から解放される。 「あまり根を詰めるな。この先まだ読む機会はいくらでもある」 そう言われても、私にはお屋敷ですることがない。 やっぱり大人しく玉彦と一緒の部活にするべきだったのかな、とも思ったけど、ずっと朝から晩まで玉彦と一緒って悪くはないけど、私には彼しかいないようで何だか嫌だ。 「んー、わかった」 明るさに目を細めて玉彦の作務衣の袖を掴む。 盲導犬のようだ。 手を繋ぎなおして座敷に行くとお膳は二つ。 今日も小百合さんは自室で食べているらしい。 一人で食べるのは寂しいと思うんだけど、それよりも私たちと顔を合わせるのが嫌らしい。 登校時間も私たちより早く、帰りも早い。 ちなみに澄彦さんの指示により、香本さんがお目付け役になっている。
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