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「今、安堵しただろう」
「なによ。しちゃダメなわけ?」
「どうにも須藤はお前に甘い。そしてお前も須藤に甘い」
また、面倒臭いことを言い出した。
どうにもこうにも玉彦は、私に関わる男子に文句があるようだ。
ついには神様の御倉神にまで、あれは男だという始末。
こういう時には先手に限る。
私はお膳を横にずらして、膨れつつある玉彦の隣に移動した。
「玉彦」
「……」
「この際だからはっきり言っとくけど、私には玉彦だけだよ?」
可愛く首を傾げてみる。
でも、固まって無反応。
くそーこの手じゃ転ばないか。
私は身を乗り出して、額にキスをする。
すると玉彦の腕が腰に回され……ぐるっと身が反転する。
床に押し倒され、玉彦が……。
「そういうことはお部屋でお願いします……」
お膳を下げに来た南天さんが襖を開けて驚き、苦笑いしてまた閉める。
「……」
「……」
見つめ合ったまま笑い出すともう止まらなくなって、二人してお膳を持って台所へと片付けに行った。
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