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学校祭の最終日に、犬外道の親玉に成り果てたあの白い物を祓う。
それは当主の澄彦さんではなく、予定通り次代の玉彦指示のもと行われることとなった。
澄彦さん曰く、親を越えて見せろとのことで、自分の失敗を棚に上げてそれはどうかと思う。
それから惣領の間に移動して、五人で打ち合わせ。
と、思いきや多門が加わり六人となった。
通常のお役目なら、正武家の者と稀人一人で臨むので、この人数は異例だった。
「以上である」
玉彦がそう締めくくって、解散となる。
私はさっさと立ち上がり、惣領の間を後にしようとしたけれど、玉彦に待ったを掛けられて座り直した。
二人きりになった惣領の間で、玉彦は私よりも一段高いところから見下ろしている。
私は黙ってただ玉彦を見ていた。
「明日の夜、暴走だけはしてくれるな」
「はい」
「危険だと判断すれば、必ず私を呼ぶ様に」
「はい」
「……以上だ」
「はい」
私は返事をして、玉彦が退出するのを待っていた。
なのに一向に彼は動かない。
じっと私と睨み合うようにしている。
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