がっこう

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「では上守さんは、あちらの席で」 担任の年配な白石先生に指示され、私は窓際の一番後ろの席に座る。 そこは一席だけで、右側には誰も居ない。 時期外れの転校生だから、空いていた場所はここだけだったんだろう。 すると前の席に座っていた男子が振り向く。 坊主頭の彼には見覚えがあった。 編入試験を受けに美山高校へ来た際に、中庭で会った野球部の人。 そして勝手に私と玉彦のお昼ご飯の重箱をつついていた人だ。 「マジで転校してきたんだね。オレ、渡辺アキラ。よろしくね」 「ど、どうも」 「上守サン、その制服可愛いね~」 「ありがとう」 短期間の編入の予定だったので、私の制服は前の学校のままだ。 お父さんがこの制服を気に入っていて、編入の許可の条件に含まれていた。 拘るのはそこなのかとお父さんに言いたい。 だってセーラー服の美山高校で、私の制服は浮いている。 「こら、渡辺! 前を向け!」 白石先生の注意に渡辺くんは舌打ちをして、前を向く。 頬杖をついて真ん中の席辺りからこちらを見ていた玉彦のことは見なかったことにしよう。
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