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「けっこうです。それでは、ケンタ様を『黄金の船』へと、ご招待しましょう!」
案内人の伯爵は『黄金の船』に乗るように誘ってきました。けれども、ケンタにとって驚くことばかりが続いています。右手をおそるおそる上げて、しつもんをしました。
「あの、この船に乗れば……本当に大切な人に会えるのですか?」
「もちろんですとも!」
「どんな人にでも……ですか? 死んじゃったお母さんにも?」
「もちろんです! あなたが強く望めば、きっと天国にいるお母さんにも会えますとも!」
にこやかな顔でキラ星伯爵は答えてきました。
すると、けわしい顔をしたサクラ子が横から口をはさんできました。
「ケンタ、そいつの出まかせを信じてはならん!」
けれども、ケンタはすっかり『黄金の船』に夢中です。サクラ子の言葉など耳に入りません。キラ星伯爵もケンタの方ばかりを見ています。サクラ子に話しかけようともしません。
「ケンタ様。さあ、どうぞ!」
キラ星伯爵は手を差し出してきました。ケンタは猫のギンを抱き寄せ、フラフラと飛行船に乗り込みます。サクラ子もブツブツ文句を言いながら、ケンタに続いて船へと乗り込んでいきました。
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