第二話 サクラ子

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「けっこうです。それでは、ケンタ様を『黄金の船』へと、ご招待しましょう!」  案内人の伯爵は『黄金の船』に乗るように誘ってきました。けれども、ケンタにとって驚くことばかりが続いています。右手をおそるおそる上げて、しつもんをしました。 「あの、この船に乗れば……本当に大切な人に会えるのですか?」 「もちろんですとも!」 「どんな人にでも……ですか? 死んじゃったお母さんにも?」 「もちろんです! あなたが強く望めば、きっと天国にいるお母さんにも会えますとも!」  にこやかな顔でキラ星伯爵は答えてきました。  すると、けわしい顔をしたサクラ子が横から口をはさんできました。 「ケンタ、そいつの出まかせを信じてはならん!」  けれども、ケンタはすっかり『黄金の船』に夢中です。サクラ子の言葉など耳に入りません。キラ星伯爵もケンタの方ばかりを見ています。サクラ子に話しかけようともしません。 「ケンタ様。さあ、どうぞ!」    キラ星伯爵は手を差し出してきました。ケンタは猫のギンを抱き寄せ、フラフラと飛行船に乗り込みます。サクラ子もブツブツ文句を言いながら、ケンタに続いて船へと乗り込んでいきました。
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