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第三話 黄金の船に乗って
三
「さあ、出航します!」
ゴゴゴォッ……。
案内人のかけ声とともに、外から何やら音が聞こえてきました。
気になったケンタは背を伸ばして小さな窓からのぞいてみます。すると、飛行船は空へと。ゆっくり浮かび上がったのです。みるみるうちにタワービルの屋上は小さくなっていきます。
ゴンドラ内の客室はとてもごうかでした。
紅いじゅうたんに、ふかふかのソファ、かがやくシャンデリア。まるで高級ホテルのスイートルームのようです。
ケンタとサクラ子は、丸いテーブルへと案内されました。
「さあ、どうぞ。おめし上がりください」
夜食として美味しそうなスープが目の前に出されました。お腹がすいていたケンタはスプーンをにぎります。ひと口ゴクリと飲むと、それはとてもまろやかで不思議な味がしました。
「ケンタ様、よろしいでしょうか?」
案内人のキラ星伯爵はひとつだけ約束をして下さい、と申し出てきました。
それは……。
『ゴンドラの二階には決して上がらない』
飛行船は、巨大な風船とゴンドラがロープでつながれた造りをしていました。そのゴンドラ部分は二階建てになっていました。出入り口やケンタたちがいる客室は一階にあたります。
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