第二話 サクラ子

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 そこで、ケンタは物知りそうなサクラ子に、金色のカードを見せてみることにしました。 「船に乗って大切な人と会えるって、書いてあるけど……本当なのかな?」  サクラ子は、ケンタが差し出してきたカードを受け取らずに、のぞきこみます。読みおわった後、ケンタに向かってしつもんをしてきました。 「おまえは、だれと会いたいのだね?」 「お母さん……だよ。だって、お母さんいきなり事故で死んじゃって……だから」  おずおずとケンタは答えました。すると、はっきりした声でサクラ子はたずねてきました。 「死んだ母親に会えると思うのかね?」 「わ、わからないよ」 「ふん」 「でも、会えるんだったら会ってみたいじゃないか!」 「なるほど。それで、会ってどうするのだね?」 「そんなの……そんなのわからないよ」  ケンタの声はさびしそうでした。 「そうか。だがな、『黄金の船』になど乗ってはいけない。お前はだまされているのだよ」  サクラ子はまじめな顔で止めてきました。  けれども、不思議です。  ダメと言われれば言われるほど、ケンタは『黄金の船』に乗りたくなってくるのです。     
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