第二話 サクラ子

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 ケンタは、サクラ子をだまったままにらみます。『黄金の船』に乗れば、大切な人と……おかあさんと会えるかもしれないのです。なのに、どうしてサクラ子は船に乗るな、と止めてくるのでしょうか?  しばらく考えていたケンタでしたが、あることが思い浮かびました。  勇気を出してサクラ子に大声で言い返します。 「わかったぞ!」 「なにをだね?」 「きっと船に乗れるのは一人だけなんだ!」 「ほほう?」 「サクラ子さんこそ、本当は『黄金の船』に乗りたいんだ!」  ケンタがさけんだ時でした。  とてもまぶしい虹色の光が……。  タワービルの屋上にふりそそいできました。ボォンボォンと騒がしい音も聞こえてきます。 (なんだろう?)  ケンタは夜空を見上げました。  いつのまにか、大きな風船が頭の上に浮かんでいるのです。  丸くて細長い、まるでラグビーボールのような形をした風船です。灰色の曇が広がる夜空に、金色にキラキラとかがやいています。 「ねえ、あれは?」 「飛行船という乗り物だな。これはまた、ずいぶんと懐かしいな」  サクラ子は目を細めました。  それは巨大な飛行船という乗り物でした。    どうして、海がないのに船が来るのだろう? と今までふしぎに思っていたケンタでしたが、まさか飛行船が飛んで来るとは思いもしませんでした。  時刻は、ちょうど夜の十二時。     
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