シーン:二人のラサ・アッシュ

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シーン:二人のラサ・アッシュ

登場人物 主人公【ラサ・アッシュ】[心の声ラサ] アイザス王国【同じ名を持つ少年】 背景:野営テント 心の声ラサ:時間は遡る。  大陸東部の片隅に群雄割拠する[白銀のアイザス王国]との同盟を破棄した[鋼鉄のベルグ帝国]による侵略戦争。  我は、アイザス王国義勇兵として参戦。  アイザス城防衛戦で頭角を現し、死亡した義勇軍隊長の代理として、ベルグ帝国軍敗残兵の追撃任務中。 同じ名を持つ少年:アンタ、ラサ・アッシュっての?  抜き身の妖刀[霧斬(キリキリ)]を持ち、目をギラつかせている。 ラサ:そうだが? 同じ名を持つ者:俺もラサ・アッシュってんだ。  身の丈に似合わぬ、野太刀級の妖刀キリキリを右手に、ゲソで支えつつ、峰で右肩をトントンと叩いている。 ラサ:そうか、偶然だな。  アイザス城防衛戦後、義勇軍に編入された少年傭兵。 同じ名を持つ者:そんな偶然あるかよ、俺は偉海賊船(イカいぞくせん)生まれ。アンタ、テイルーバー自治国の英雄だろ? それに(あやか)って名付けられたんだ。  少年カラスは、見定めるように視線で舐め回す。 ラサ:そうか。確かにオレは、ローティーンの頃から、テイルーバー自治国の英雄と呼ばれ始めていたな。 心の声ラサ:祖国の戦乱を思い出す。  無茶な作戦を成功へと導いてきた。  心に思うは[我]、喋るは[オレ]で通している。 同じ名を持つ者:俺は、最強の刀聖(とうせい)(うた)われる、イカしたアンタを倒したいッ! 心の声ラサ:イカした‥‥カラスの褒め言葉。 ラサ:物騒な事を言うな‥‥だが、キミの妖刀キリキリと戦ってみたいという念は、オレにもある。  二人で不敵な笑みを浮かべる。
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