Pluie et petits plaisirs

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◇ ◇ ◇  ――雨の日によく遊んでくれたお姉さん。  そのあとを追うように、私も同じ芸術大学へ進学した。  専ら写真を撮る毎日で、先日出品した『雨の湖畔』は入賞はしなかったけれど非常に幻想的だと結構いい評価を貰えた。  大学からの帰り道、最寄りの公園。  休憩所の屋根の下でため息をつく女の子の姿が目に入った。  あれは、向かいのお家の麗奈(れいな)ちゃんだ。 「どうしたの? こんなところで」  声をかけると、麗奈ちゃんは酷くがっかりした声で呟いた。 「雨だから、なんにも出来なくて、つまんないの。仲のいいお友達は塾だし、公園には誰もいないし、お母さんはお仕事だし。……雨なんか大っ嫌い」  拗ねたように地面を蹴りながらそう言う麗奈ちゃん。  私はその肩にぽんと手を置いた。 「ね、もしよかったら、うちに遊びに来ない? 雨の日の遊び、教えてあげる」
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