Pluie et petits plaisirs

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 うちまでもうあと少し、というところで、大きな音を立てて車が私のすぐ傍を走った。  そうっと走ってくれたらいいのに、勢いよく道路わきの水たまりを踏んでいったせいで、私は顔も服もびしょ濡れになることになった。 「ぅ……うぅぅ……」  冷たいし、汚いし、遠足には行けないし、思わず涙がこみあげてきた。  我慢しようとするけれど、雨で冷たいほっぺたにあったかい涙が流れる。  ついでに鼻水も出ている気がするけれど、そんなことを気にしている余裕はなかった。 「ぅ、うえええぇ……」  涙は、出れば出るほどどんどん止まる気配はなくて、私はまるで幼稚園の子みたいに大声で泣きじゃくった。  私ばっかり。雨のせいで。 「雨音ちゃん……? どうしたの?」 「ひぐっ……ふっ……」  背中からかけられた声に振り向くと、そこに立っていたのは近所に住んでる優しいお姉さん。  私のぐちゃぐちゃの顔を見ると、お姉さんはすぐに私をぎゅっと抱きしめた。  可愛いピンクの傘を上手にさしてるから全然濡れてなかったお姉さんの服が、私の涙と汚れた服で濡れていく。
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