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「おっ、ねえ、さっ……ふくっ……濡れちゃ、うっ……ひぐっ……」
「んー? ぜーんぜん大丈夫。安物だし普通にお洗濯できるから。これ、こないだのセールで1200円だったんだよ、すごくない?」
まだあんまり自分で洋服のお買い物をしない私には、1200円のワンピースが安いのかどうかは分からなかったけれど、お姉さんは私の背中をぽんぽんと撫でた。
◇
「はいっ、ココア、まだちょっと熱いから気を付けてね」
「うん、ありがとう」
お姉さんのお部屋に入れてもらった私は、可愛いペンギンのマグカップを受け取る。
シャワーで綺麗になった身体に、ココアがあったかい。
「雨音ちゃんの洋服、乾燥機にかけてるから、しばらく私のTシャツで我慢してね。大学のサークルのやつだから、ちょっとダサいかもだけど……一番小さいのがそれだったから、ごめんね?」
「ううん、かわいい」
「あ、ほんと? よかった、私はその牛柄好きなんだけど、友達には不評なんだよね。雨音ちゃんはセンスがあるね」
そう言って笑うお姉さん――吉田優里さん――は、名前の通りにすごく優しい。
今日はお母さんがパートで、お兄ちゃんが部活で遅くなることを言ったら、すぐに一人暮らしのアパートに入れてくれた。
ハートのクッション、小さいサボテン、おしゃれな写真立て。
お姉さんの部屋はすごく可愛いものだらけだ。
◇
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