Pluie et petits plaisirs

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「すごい、秘密基地みたい」 「でしょ?」  さっそくチョコレートを広げて食べてみる。  教室で食べたのと同じもののはずなのに、すごくおいしい。 「あ、雨音隊長、それは貴重な食料ですよ」 「え、なにそれ」 「っていう設定。雨音ちゃんが隊長で、私は優里3等兵」 「……3等兵って偉いの?」 「うーん、多分そんなに偉くない。隊長がこの辺としたらきっとこの辺かな」  両手で私の頭ぐらいと地面近くを指すお姉さん――優里3等兵。 「えー、それじゃあ貴重な食料はあまりあげられないなぁ」 「そ、そんな、あんまりであります雨音隊長」 「うーんしょうがない、じゃあこのグミを分けてあげよう。大事に食べなさい」 「あ、ありがたいであります!」  まるですごく大事な物のようにグレープ味のグミを受け取るお姉さん。  目が合うと私たちは同時に吹き出してしまった。 「へ、へんなのっ!」 「ふふっ! ね、おかしいね」  “貴重な食料”を大事に分け合いながら、私たちはペンとか折り紙とか色々なものをテントに持ち込んだ。  お姉さんは絵もすごく上手だし、ツルしか折れない私と違って綺麗なバラを折り紙で作ってしまった。 ◇
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