Pluie et petits plaisirs

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 『じゃーん!』そう言って目の前に差し出された私の長靴。  お下がりで、青くて、大嫌いな長靴が、綺麗に磨かれて――そして可愛い人魚姫の絵が描かれていた。 「ど……どうかな? 青い海をイメージしてみたんだけど……」  少し不安げに私の顔色をうかがうお姉さんに、私は勢いよく抱き着いた! 「うわっと!」 「ありがとうお姉さん! すっっっごく、可愛い!」 「あ、ほんと?! よかったぁ……!」  少しも可愛くなかった男の子みたいな青い長靴、お姉さんの手で魔法をかけられたみたいにすごく輝いて見えた。 「これで少しは、雨の日が楽しみになるといいかなって思って」 「うん! すごい、魔法みたい!」  雨の日なんて、可愛くない靴で、なんにも出来なくて大嫌いだったけれど。 「雨の日は、バラ、練習するね。綺麗に出来たら、お礼にプレゼントするから!」 「うわぁ、それは楽しみだな。じゃあ次は、ビニール傘に魔法をかけてみようか」 「うん!」  いつの間にか外の雨はやんでしまっていたけれど。  明日も雨だったらいいな、なんて思った。
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