僕の愛した死体

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「僕が心惹かれるのは何時だって奇妙なものばかり。みんなと感性がずれているのかそれともわざとそうしてるのか、多分後者でしょう。他人と同じことを考えてるってことを考えるのが嫌だったんですよ。「自分は特別なんだ」とかおもったこと、あるでしょう? 話は戻りますが、僕は奇妙なものが大好きです。例えば町外れにある廃墟。あそこは素晴らしい。かび臭い空間ではありましたが、世迷い人を自称する僕にとっては公園よりも憩いの場所になっていました。何時崩壊するか分からない刺激も丁度いい。 あの日も現世を嘆く作業をしようかと、軽い気持ちで廃墟に忍び込みました。廃墟にはそれなりの家具が置かれていて、ソファとか、ベットも置きっぱなしになっていました。盗っ人があそこでバーゲンセールを開けるくらいには物に溢れていましたね。 その時の心の高鳴りはまるで僕の心臓が勢い余って飛び出てしまうんじゃないかって焦ったくらいです。 ―――目が飛び出し、舌が垂れ下がり、裸体が空間に一直線の線を引いている。足元には体液の水たまりが自己主張をしていて、確かにそこにありました。
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