Case.4 time after time-1 衝撃の再会

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Case.4 time after time-1 衝撃の再会

「また無茶をしたな、雨月(うげつ)よ」  コロン、というカウベルの音にかぶるように言われて、雨月はその整った顔を(しか)めた。 「うるせぇよ」  黙れ、と言わんばかりの文句を、肩先に乗っていた黒い猫は柳に風と受け流す。 「本当のコトを言っただけだろう。これで始末書プラス、刑期がどれだけ延びるかな」  言うまでもなく、さっき会って来た美歌子と、彼女の子として生まれる予定だった少女の措置だ。  美歌子はともかく、娘のほうは、本来なら三年前には転生の手続きに入り、今頃とっくに転生しているはずだった。それを、かなりしつこく食い下がって、美歌子の刑期満了まで延期させていたのは、ほかでもない雨月である。  一カウンセラーの権限からは大幅に外れた行為だったのは間違いないし、その自覚もあった。けれども、無理無茶無謀で始末書を書かされるのは、自慢ではないが茶飯事だ。刑期が今更どれだけ延びたところで、痛くも痒くもない。 「……てゆーか、それを決めるのはあんたかよ」 「ではないがな。依頼人に肩入れするのは、お前の悪い癖だと言っておるだけだ」  雨月は、ふん、と鼻を鳴らして肩を竦めた。その拍子に、黒い猫――ラータが乗っていた肩先から飛び降りる。 「よく言うな。クール気取ってたって、あんたも大概似たようなモンだろが」 「何を言う。若造が感情任せに暴走するから、こちらもわざと刑期を延ばすように付き合ってやっとるだけだ」 「はーん、それはそれはご配慮傷み入るぜ。いちいち付き合ってくれなくてもいいのに」 「生憎だがお前の為ではない。私が早々と刑期を終えたあと、お前の面倒を見る相棒を決めねばならん、上の苦労を省いてやっとるだけだ」
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