53人が本棚に入れています
本棚に追加
頭部とは違い、赤に染まっていない肌と可愛らしい黄色のブラが皆の前に露出された。
「は、はは……。結構胸デカいじゃん」
ケンジは徐々に熱を失っているコハルの胸を爪が食い込むほどの力で掴んだ。
コハルが息絶えた場所から近くの席だったナルミは、その光景に口に手を当て目を逸らした。もう一人、その光景がはっきりと見える場所に席のあるシロウは唇を噛みしめた後、声を荒げた。
「死んでるんだろ!? それ以上辱める必要は無いだろ!!」
怒りと取れるその声に教室内の皆がシロウに視線を向けていた。
悪夢の中から引き戻されるような叫びだ。
今この教室で同年代の少年少女が殺し合った。それはまごう事無き真実で、現実でそれを受け入れられる生徒がこの教室にどれほどいるのだろう。
サキもその一人だ。現実感が無く、コハルから流れ出ている真っ赤な液体も、教室後方で倒れているモノが何かも理解していない。出来ないのではなくしない。人間の自己防衛本能だ。
「腹……。2……、これを剥がせばいいんだ。そうだよ。紙を切るみたいにさ」
シロウの叫びでコハルの胸から手を離したケンジはブツブツと呟き、コハルの右脇腹に記されたナンバーをぼんやりと見た後、その周りの肉へとサバイバルナイフを突き立てた。
吹き出た真っ赤な血を頬に浴びながら、無心で皮膚を剥ぎ取る為に何度も何度もサバイバルナイフを突き刺し、小刻みに動かした。
最初のコメントを投稿しよう!