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「本当はこんなことしたくないんでしょ!?」
「もっと早くに分かっていたら、あたしはサキちゃんを襲わないで済んだ。あたしはねコハルちゃんを襲うべきだったんだよ」
「でも、コハルは初めに殺された」
「そう。だからあたしには理由がなくなったみたい。誰でもいいってなっちゃった。あたしは誰を傷つけても生きたい、そう思ってる。でも、それがサキちゃんじゃなければ良かったのにって今になって思ってる。コハルちゃんが生きていればあたしはコハルちゃんを殺せたのに。良心や罪悪感にかられる事無くね」
「それは、……コハルがカナコの親友を自殺に追いやった犯人だから?」
「そうだよ。あたしも鈍いよね。同じ制服、どこかで見た事のある顔。でも全然気にしてなかった。まさかこんな所にあの子をいじめてた子がいるなんて思いもしないよ。平然とまた誰かを殺そうとしてるなんて、なんて図太い神経をしてるんだろうコハルちゃんは。あんな子死んで当然なんだよ」
サキの手を振り払いカナコは再び果物ナイフを掲げた。
「やめてっ!」
「こんな小さいナイフで簡単に人なんて殺せないよね? だから暴れないで。その番号だけ取れればいいんだから。あたしサキちゃんの事何度も何度も刺したくなんてないんだよ?」
暴れるサキの首を片手で掴みカナコはもう片方の手の果物ナイフをサキの胴体へ突き刺そうとした。
サキは目を瞑り痛みを覚悟したがそれは訪れることはなかった。
ドスっという鈍い音と共にカナコの手にしていた果物ナイフは地面へと落ちた。サキは首にかかっているカナコの手を払いのけカナコを見やった。
「カナコ?」
「なんで……?」
カナコは苦渋の表情を浮かべ背後を振り返った後、地面へと倒れた。
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