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「やっぱり簡単には手がかり見つからないね」
音楽室で溜め息を吐くナルミにマミコは頷き賛同していた。
「六番が誰なのかも分からないし……。これじゃあお手上げよ」
「違う部屋を探してみよう。諦める訳にはいかないんだ。僕らは二人でゲームに勝たないと……。じゃないとリュウノスケは何のために」
ナルミは拳を強く握り壁を殴りつけた。その行動にマミコは肩を跳ねさせていたが、何も言う事はなかった。
「ナルミ……。今言う事じゃないけど、私――」
ガラガラと勢いよく音楽室の扉が開かれ二人は慌ててそちらを向いた。
「よぉ、こんにちは。もうこの学校には誰も居ないのかと思ったぜ」
「っ!」
明るく笑みを浮かべ挨拶をしたアオにマミコは怒りの表情を見せ、ナルミは額に汗を浮かべた。
「あんたっ!! あんたは! リュウを殺した!!」
怒りを言葉に乗せたマミコに対しアオは怪訝な表情を見せた。
今にも飛びかかりそうなマミコの手をナルミは掴み、彼女を庇うように机や椅子が積み重ねられた自身の後ろへとやる。ナルミもアオを睨みつけるもののアオは気にすることもなくクスクスと笑い始めた。
「もう、大体殺されたのかと思ったぜ。人数も減って来たしなぁ、生きてるやつを探すのは大変だと思ってたのにこんな所に二人も居るとは。まだ遊んでいいって事だよな」
「遊びだと……? 人を殺しておいてなにも感じないのか!?」
「可哀想だなぁ、痛いだろうなって思うよ? だけどそれ以上に愉しい! 俺の為に皆死んでくれた! 俺が他人の命を支配したんだ。泣き喚いて俺に懇願して最高だぜ。こんな愉しい事無いよな?」
恍惚の表情を浮かべるアオに対しナルミは背筋が凍る思いがした。
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