53人が本棚に入れています
本棚に追加
アオは二人が居た場所へと減速することなく突っ込み、教室内には机や椅子の倒れる音が響いていた。
「ナルミ!!」
マミコは強く手を引くナルミを怒りの籠った声で呼んだ。
「馬鹿な事考えないで逃げるんだ!! あいつはイカレてる!! 感情に任せて行動するべきじゃない!!」
「だけど許せない!! 私はあいつを許せないわ! リュウの仇を――」
「待てよっ! 絶対にその女殺してやる!! 俺が弱くないってことを教えてやる!!」
音楽室の扉の前でアオは怒りを露わにし走り去る二人に叫んだ。マミコは走りながらも振り返りアオを睨みつけた。お互いに怒りを含んだ目を合わせた後、マミコとナルミは廊下を曲がった。
「クソ女がっ!! 絶対に殺す!!」
倒れた机に下敷きにされた右足を庇いながらアオは二人の後を追う。
「ナルミ! 離して!! 私一人でも走れるわ!」
階段を駆け下りながらマミコはナルミに抗議をする。ナルミは掴んだ手を離すことは無かった。
「ナルミ! ナルミ!!」
一階まで駆け下り中庭の木陰でナルミは振り返り、掴んだままのマミコの手を引き寄せ彼女を抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!