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ケンジは剥ぎ取った肉を左手で持ち、皆に見せつけるように高々と掲げた。
「あ、ああ、あ……」
「ニナ!? ニナ!」
前列に居たニナはそれを見るなりふらりと意識を手放した。そのニナを受け止めたのはシュウ。必死にニナの名を呼びかけるがニナは意識を取り戻すことは無かった。
「あら、気絶されましたか」
担任教師は自身の近くに居る生徒を見下ろし、眉を下げていた。だがそれ以上ニナに構うことなく担任教師はもう一度拍手をし、笑顔でケンジを見つめた。
「おめでとうございます。皆さんもケンジさんの様に生贄を捧げてください。あ、生贄の権利の放棄はされますか?」
首を傾げ問いかける担任教師にケンジは青ざめた顔で凍った笑みを浮かべた。
「しない」
「ではケンジさんは生贄の条件を達成しました」
その言葉を合図にするように教室後方の扉が開かれ、全身白の防護服を着た、体格から推測するに男二人が躊躇いもなくコハルの死体を持ち上げた。
「ま、待て……!」
シロウは震える足で立ち上がり防護服の男を止めようとしたが、シロウを無視するかの様に男達はコハルの死体を教室内から運び出した。
ケンジはその場に頽れ、手にしていたサバイバルナイフとコハルの肉の断片を手放した。
「……っ! う、うぇ……!」
その場で自身の喉を抑えながらケンジは嘔吐を繰り返した。
「では、皆さんゲームの進め方は分かりましたね? 校内には至る所にカメラが配置されています。皆さんの健闘はカメラを通して見ています。不正もです。ナンバーを手に入れた方はカメラに向かってソレを掲げてください。それだけでナンバーの権利を確保できます。注意事項はまだまだありますが……、ニナさんも気絶してしまいましたし……。今日のホームルームはここまでにしましょう。各自、部屋に携帯端末を置いていますのでそちらで詳しくルールを確認しておいてください。分からない事がありましたら何でも聞いてください。部屋に置いてある電話で先生に繋がりますので。今日は皆さんお疲れでしょうから部屋へ行ってゆっくりお休みください。何度も繰り返しますがルールの確認はしておいてください。では明日からも頑張ってください」
そう言い残し担任教師は艶やかな笑みを浮かべた。
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