Day2-1

3/18
前へ
/172ページ
次へ
**  プライベートルームとして宛がわれた部屋は安いビジネスホテルの様だった。  扉は内開き。シングルベッドに椅子とテーブル、壁に掛けられた鏡と時計。トイレ、バス、洗面台が一緒の三点ユニットバス。アメニティ各種。小さな冷蔵庫の中にはミネラルウォーターが二本入っている。給湯器やコップも備え付けられている。クローゼットには着替えの制服と下着類。一週間分以上は用意されている。それとご丁寧に通学用の鞄も三つほどあった。そして壁に掛けられた電話と、天井に取り付けられた監視カメラ。流石にユニットバスの中にはカメラは配置されていなかった事にサキは少し安堵していた。  壁の時計は二十四時を過ぎている。  サキは携帯端末をテーブルの上に戻した。テーブルの上には携帯端末と飲みかけのミネラルウォーター、それから片手で持てる大きさの斧がある。  あの教室での出来事の後、護身用にと持ってきたのだ。  それらは全員の机の中にしまってあったのだった。あらかじめあの様な事態が起こることを見越して入れられていたのだと、サキは後になって理解した。  あの出来事の後、部屋の位置を担任教師は教えそれを聞きイの一番に飛び出していったのはシュウであった。シュウはニナを抱えさっさと教室を後にしたのだ。  サキはケンジ達から距離をとる為に立ち上がった時机にぶつかり、机は少し動いて斜めになっていた。その時机の中に何か入っていることに気が付いていた。それはおそらくサキ以外の生徒も気が付いていたのだろう。コハルが振りかざした包丁がどこからやって来たのか、皆薄々気づいていた。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加