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――病気なんかじゃない!! どうして母さんは分からないの!? 父さんもよ! 私を避けるようにして、もううんざりなんだよ! 私は無駄死になんかしない!! 死ぬときは私は――
その続きをサキは知っている。自分の事だから。この学校で目を覚ます前の出来事だから。
母と言い合いをした。母は泣きそうな顔で、どうして、と呟いた。愛しているのに、と呪いの様に何度も呟いた。その日はついに両親への不満が爆発した日だった。
「朝……?」
眩しさと嫌な夢で目覚めたサキは咄嗟に時計を見た。七時前だったことに安堵し一息ついた。
昨夜知らずの内に眠ってしまっていた事に動揺したのだ。そしてオートロックが解除され、休み時間が終わっていない事に安堵した。寝ている内に殺されるなんてまっぴらだとサキは思っていた。
サキはすぐさまシャワーを浴び身支度を整えた。
オートロックは八時に解除される。携帯端末を持ってさえいれば出入りは自由だが、今の時間安全は保障されていない。八時から九時、その間は少なくとも暴力行為や殺傷行為が禁じられている為、出歩くなら八時を過ぎてからだろう。
ベッドに腰掛け考える。この状況を考える。
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