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サキが向かった先は食堂。校内の地図は携帯端末に入っていた。とにかく何かあった時の為に食料を調達しておかなければと思い、食堂へと足を向けたのだ。
食堂からは温かい匂いが漂っていた。
サキよりも早くに食堂には三人が居た。三人は話を中断しサキをちらりと見て、話しの続きをしていた。サキは携帯端末に写真で撮っておいたプリントの画像を読み込んだ。
ナルミ、リュウノスケ、マミコの三人だ。オートロックが解除されるより早く部屋を出たのだろう。三人は顔見知りなのか仲がよさそうだ。
食堂にはバイキングスタイルで朝食が用意されていた。温かさを保つための器具が備え付けられている。食堂にはナルミ達三人以外はいない。朝食がいつの間に用意されていたのか分からない。
サキは一旦料理から目を離し、調理場へ立ち入った。
冷蔵庫や棚を開け、食べ物を物色した。
冷蔵庫は三つあり一つには生肉や野菜が所狭しと入れられていた。その次の冷蔵庫にはカップのプリンやゼリー、コンビニでよく見かけるシュークリームやどら焼きなどの個包装にされたスイーツ類が、もう一つの冷蔵庫にはミネラルウォーターやお茶、ジュースなどのドリンク類が入っていた。
サキはミネラルウォーターを三本鞄に入れ、今度は調理台下の棚を漁り始めた。そこにはインスタント食品や災害用の食品、缶詰がこれも所狭しと入っていた。
カップラーメン、即席の味噌汁、サバの缶詰など、出来るだけ嵩が増えないものを選んだ。とは言え鞄は既にパンパンだった。
バイキングスタイルの朝食の中から、クロワッサンを一つ掴みそれを齧りながらサキは食堂を出ようとした。
「あ、おはよう。えっとサキちゃんだよね?」
出ようとした所で食堂に入ろうとした片三つ編みの女子、カナコと出くわした。
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