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「おはよう、えっとカナコさん?」
「呼び捨てでいいよ。もうご飯食べたの? というか食べてる途中? なんかホテルみたいだよねー」
昨日はあんなに震えていたのが嘘の様にカナコはのんびりと話した。
「カナコ、私部屋に戻るんだけど」
どいてくれない? という意味を込めサキはカナコに告げた。カナコは少し目を見開いて、サキの左腕をつかんだ。
「待って! 行かないで、お願い」
カナコは潤む瞳でサキに懇願した。
「どうして?」
「あたしと組もう? こんなの一人でなんて耐えられない……。それにほらあの三人だって組んでたら一人で太刀打ちできない。あたしの事今日だけは信じてくれない? 絶対にサキちゃんに危害を加えない。サキちゃんもあたしに危害を加えないでしょ?」
「……どうして私がカナコに危害を加えないと思うの? だって誰かを殺さないといけないんでしょ? どうして私が大丈夫だと思うの?」
「そんなの感だよ! 昨日あたしの心配してくれたし、少し話したじゃん? いい子だと思ったの」
「それだけ?」
「それだけ。あたしは絶対に裏切らない」
サキは眉間に皺を寄せた。信じていいのか分からない。根拠も怪しい。だが一人で居るよりかは生存率が上がることはサキにも分かる。
「……とりあえず荷物置いてくる。また戻って来るから、ここで待ってて」
「オッケー」
軽い返事を残しカナコは、朝ごはん素敵、と言いながら、皿に朝食を盛り付けていた。そんなカナコを見て大丈夫かとサキは一抹の不安を覚えていた。
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