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時刻は八時三十分過ぎ。
食堂に戻ったサキはカナコの隣にコーヒーを持って座った。
「おかえり。どうして一回部屋に戻ったの?」
「非常食を部屋に置いておこうと思って」
「ああ、なるほど。頭いいね!」
「ところで、なんで皆で居るの?」
サキはカナコの周りを見渡した。
三人組のナルミ、リュウノスケ、マミコ、それに続きアキト、ヨシノが居た。
「ヨシノは無理矢理座らされただけ」
ヨシノは興味無さそうにそう言うとカップを傾けていた。
「俺達が三人で居た所にこの人達がやって来た」
「情報収集は大事だろってね」
リュウノスケに続きナルミが告げた。
「俺は一人で居るより楽しいと思ったからさ!」
明るい笑顔でアキトがそう言った。
サキはアキトが苦手だ。そのチャラチャラとした見た目も、昨日喧嘩腰に担任教師に突っかかっていた所も苦手だ。端的に言ってしまえば馬鹿っぽいとサキは思っているのだ。
「あのさ、聞きにくいんだけど、皆ゲームの事どう思ってるの?」
サキの質問にその場は一瞬静まった。
「意味分かんねーって思ってるよ。俺らはな。人なんか殺せるかよ。胸糞わりぃ」
「リュウノスケ口悪いよ。でも私もそう思う。だからジョーカーを当てる方にかければ……ってでもそんな都合よくいかないよね」
「そのジョーカーなんだけどよ、早い者勝ちなんだろ? じゃあ早く言った方がいいよな? 俺さ昨日目星付けて来たんだわ。誰か俺のチームに入る奴いる? 俺が当てちゃったらもうお前ら殺し合うしかないぜ?」
「……」
アキトの発言に乗る者は一人も居なかった。
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