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「この学校結構広いみたいだから誰かと鉢合わせしなければ大丈夫だと思うんだけど」
サキは携帯端末で校内の見取り図を見ながらカナコに言った。サキ達に与えられた携帯端末には一つの電話番号しか入っておらず、その他へ電話を掛ける事は出来ない。データの受信は出来るが送信は一切できないもので、携帯端末自体に入っている情報とカメラで取り込んだ情報のみ読み込むことが可能だった。
「そうだね。でもさ、誰かと鉢合わせしてもその人にあたし達を殺せる勇気あるのかな?」
「さっきのアキトって人、もうそれしか手段ないじゃん。追い込まれてるんだよあの人。出くわしたらヤバいかも」
「いやいやどうかな? あの男、そんな度胸あるようには見えない。いざとなったら殺すなんてできないよ。それにあたしたちは二人だし、あの人誰かと組めるような感じじゃないよね?」
「……カナコにはあるの? 度胸」
美術室の扉をカナコは開け、サキに振り向いた。
「そんなの無いに決まってるよ」
「じゃあ、どうするの?」
「ジョーカーを見つける。よく見ていれば分かるはず。ジョーカーの勝利条件ってあたしたちと一緒だと思う?」
美術室に入り扉を閉めた。鍵は外されていた。二人は準備室の扉の前で話し始めた。
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