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「ゲーム?」
訳が分からないという風に眉を寄せ怪訝に窓側四列目の席の少年が呟いた。生徒と称された皆が不安げに、もしくは怪訝に顔を歪めていた。
「はい。今回行っていただくのはジョーカーゲームです」
「……ババ抜きの事?」
先ほど発言した少年の前の席の少女は更に眉を寄せ問うた。
「なるほど。トランプのババ抜きという事ですね。ですが今回はトランプではありません。では、ルールの説明を行います」
「ちょ、ちょっと待てよ! いきなりゲームだとか言われても訳わかんないんですけど! そもそも俺ら参加するとも何とも言ってないじゃん。大体目ぇ覚めたら知らない場所とか何? 誘拐? マジ勘弁なんですけど。お姉さん、いや先生か。めちゃ美人だし先生となら遊びたいけどこんな意味分かんねぇ事付き合えないっすわ。俺一抜けるわ。帰らせてくれ」
サキの後ろに座っていた少年は机を叩き、立ち上がった。その事に少なからずサキは驚き肩を揺らした。背後からはピリピリとした怒りを感じる。
だがその怒りは担任教師の一言ですぐに消え失せる事となる。
「賞金がでますよ?」
「え? マジ?」
先ほどまでの気迫は何処へ行ったのか少年は笑みを浮かべ席に着いた。
「なんだ。先生そういう事は早く言ってください」
誰もが分かるほど少年の声は浮足立っていた。
「馬鹿が」
「あ? 誰だよ今馬鹿って言ったのは」
「馬鹿に馬鹿って言って何が悪い? お前自分の状況理解してんのか? これは――」
窓際に座る少年は歪な笑みを浮かべて、サキの後ろの少年を挑発した。だがその先の言葉を遮るように赤髪の担任教師が粛々と話を始めた。
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