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「ではルール説明を行います。まず貴方達に拒否権はありません。与えられた選択肢は参加し勝利するか、敗北するか、若しくはリタイアするかです」
「あの……、リタイアがあるなら拒否権があるのではないですか?」
サキの前の席の少女は弱弱しく控えめに挙手して、そう尋ねていた。
「拒否権と受け取っていただいても構いません。ですがお勧めはしません」
「ど、どうしてですか……?」
「リタイアは敗北よりも重い事です」
「逃げることは許さないって事か?」
先ほどサキの後ろの少年を馬鹿にした少年が笑みを浮かべつつそう質問した。
「リタイアは逃げる事ではありません。私個人の都合でしたらリタイアしていただいた方が助かります。ですが、皆さんの立場で言わせていただくと、リタイアする事はやはりお勧めできません。勝者には賞金又はどのような願いをも聞き届ける権利を与えます。では勝利条件を。一人につき一人以上の生贄を捧げ期限まで生き残る事です。今回の期限は本日より一週間とさせていただきます」
「いけ、にえ……?」
サキは思わず小さな声でそう呟いていた。担任教師はサキを見て妖艶に微笑んだ。
他の生徒達にも生贄という聞きなれない響きからか、僅かながらの動揺が走っていた。
「あるいはこの中に潜んでいるジョーカー二人を見つけ出す事です。貴方達の中には二人ジョーカーが潜んでいます。ジョーカーの方は自身がジョーカーである事を他者に知られない方が賢明であると思います。お二人には個々に追って勝敗条件の細かな説明をさせていただきます」
「ジョーカーを探すからジョーカーゲーム?」
サキの隣に座る髪を片三つ編みにした少女が首を傾げながら担任教師に問うた。
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