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「はい。特にジョーカーという言葉に意味はありません。ウサギでもキツネでもよかったかと。ですがその場合いささか可愛らしいゲームになってしまうという事で……。……話が脱線してしまいましたね。先にジョーカーを探すにあたり注意事項の説明をします。ジョーカーは“二人”です。お二人共を見つけ出し、お二人の名前を申告して下さい。ジョーカーを言い当て、勝利できるのは最初の一人、または一チームのみとさせていただきます。チャンスは一人または一チーム一度のみです。ですので、よく考えてから皆さんの早めの申告をお待ちしています。ジョーカーの方は例えチームに所属していても、申告は受理されませんので悪しからず。またジョーカーを当て間違えたことによるペナルティはございません」
「ジョーカーを間違えれば、その……生贄? を捧げる方法しかないという事ですか?」
サキの列の一番後ろの少年はよく通る澄んだ声でそう問いかけた。
「はい、そうなりますね。ああ、まずこちらをどうぞ。渡し忘れていました。名前が分からなければ不便ですよね」
そう言って担任教師が一番前の列の生徒にプリントを渡し、それを後ろに一部ずつ渡していくという、いかにも学校のホームルームで見るような光景が生まれた。
プリントには生徒達の座席表が書かれていた。各々の座席には名前と顔が分かる写真が印刷されている。
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