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サキは自身の写真部分を手で隠した。陰鬱な表情。ぱっとしない見た目。それ以上自身の写真を見ていたくなかった。
「なにこれ……。こんな写真いつ――」
「自己紹介はしなくても大丈夫ですね。見知った顔もあるとは思いますが、ゲームの説明を先にさせてください」
ヨシノの怒りの声をまたも遮り担任教師はそう告げた。
そのプリントに並んでいるのは記号であって個人ではないのだとサキは感じた。顔と名前さえ一致させられれば、その人個人のパーソナリティなど関係ないのだと言いたげな担任教師に少しの不快感を覚えていた。
生徒達は座席表を元に他の席を伺っている。サキには見知った顔などいない。
「生贄についてですが、こちらは簡単です。この中の誰か一人を殺してください」
「!?」
担任教師から目を離していた生徒達は一斉に教壇へと向き目を見開く。冗談でも笑えない発言だ。
「貴方達の体にはそれぞれナンバーが刻まれています。十三人ですから、一から十三のナンバーですね。そのナンバーを剥ぎ取ることで生贄と認めます。ああ、ですから殺さなくても皮膚だけ剥ぎ取れば生きることは出来ますね」
その場に居た誰も声を上げることは無かった。
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