死んだ子の齢を数える - 私が死んだ理由

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娘がいなくなって四年。毎年,娘の誕生日が近づくと私はパニックを起こした。 パニックを起こすたびにガリガリになった私を主人が力強く抱きしめた。 娘がいれば十歳になる。毎日朝から晩まで娘の成長した姿を想像し,いなくなった娘のことを思った。 あんなに可愛かった娘の成長をみられない悲しみと,生きているのか死んでいるのかさえわからない不安。 ガリガリの骨しかない腕と乾いた皺だらけの手で主人の身体を押しのけようともがいたが,主人は力任せに私を抱きしめ呼吸ができなくなるまで全身を絞め続けた。 目の前が真っ白になり,口からよだれを垂らして全身の力が抜けていくのがわかった。 もう出ないと思っていた涙が溢れ出した。 主人が私の耳元で「お前が娘を殺した」「お前は俺を裏切った」「一生この苦しみを味あわせてやる」「絶対に許さない」とつぶやき続けた。 そして私は薄れていく意識のなかで,ゆっくりと全身の臓器が順番に停まっていくのを感じ,ようやくすべての不安から解放されると思った。 「娘のところに行ける……」 「ようやく解放される……」 「ごめんね……ごめんなさい……ぜんぶ私が悪いの……」 「あなたを裏切った私が悪いの……」 「あなたは……幸せになってね……」 最後に私が目にしたのは,怒りと憎しみに満ちた主人の真っ赤に充血した目だった。
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