77人が本棚に入れています
本棚に追加
娘がいなくなってからというもの,主人の暴力はひどくなる一方だった。
「娘は自分の子どもじゃないのか? 浮気相手の子どもか?」と言いながら,何度も殴られ蹴り続けた。
私はなにも言えず,なにも答えられず,殺してもらおう,娘のところに行こうとぼんやり考えていた。
すべて自業自得だ。
浮気の代償がこれほど大きいとは想像できなかった。
それでも口の中に食べ物を入れてきたり,無理矢理歯を磨いて来たりするので,少しでも抵抗しようと噛みついた。
無駄な抵抗なのはわかっていた。
お風呂に沈められたり,指を折られた。
そして,小さな玩具みたいなペンチで前歯を抜かれた。
自分でも驚くほど簡単に抜けた。次から次へと簡単に歯を抜かれていった。
「殺してください……」
「もう……許してください……」
心の中で何度もお願いをしたが,主人の耳には届かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!